オススメ記事

学習障害(LD)は発達障害のひとつです。
ここでは、学習障害(LD)の症状や分類、年齢別による特徴、原因、治療法などについて紹介します。理解を深めるためにも、ぜひ最後までお読みください。
目次
学習障害(LD)とは

学習障害(LD)とはLearning Disabilityの略称で、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する/推論する」など、特定の能力において習得・行動することを困難とする発達障害です。
発症率は約2~3%とされ、男女比は4:1で男性に多い傾向にあります。
文部科学省の学習障害(LD)の定義
文部科学省では学習障害(LD)を以下のように定義しています。
基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
出典:文部科学省
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
さらに、各メディアでは以下のように定義されています。
学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。
出典:LITALICO発達ナビ
学習障害は、「障害」という言葉のイメージからとても重い障害のように感じてしまいますが、知的発達に遅れはなく、特定の能力の修得に困難を示します。
出典:発達障害療育の糸口
そのため、近年はLDと呼ぶことが一般的となっています。LDは約2~3%の割合でみられるとされています。
LD(学習障害)とは、基本的には全般的な知的発達に遅れは見られず、聞く・話す・読む・書く・計算するまたは推論するなどの特定の能力の習得に困難さがみられます。
出典:TEENS
学習障害(Learning Disorders, Learning Disabilities = LD)は主に、読字障害(読みの困難)、書字表出障害(書きの困難)算数障害(算数、推論の困難)の3つに分類されます。「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」という5つの能力の全てに必ず困難があるというわけではなく、一部の能力だけに困難がある場合が多いです。
出典:LITALICOジュニア
LD(学習障害)とは、何らかの原因によって本人の知的能力が学業に発揮されることを妨げられている状態をいいます。読字・書字・算数など特定の機能に限って障害が現れやすく、知能は正常であったり、高かったりする場合にも生じることがあります。
出典:LITALICOジュニア
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を示すものである。
出典:全国LD親の会(JPALD)
知識や行動に学びの難しさがあり、生きづらさが伴う状態を当社では大人のLD(学習障害)と定義しています。
出典:kaien
学習障害とは、聞き、話し、書き、推理する能力、算数の能力を取得したりするのが著しく困難な、さまざまな問題群の呼び名である。そのような問題は、生まれつきの中枢神経の働きの障害によるものと考えられる。
出典:wikipedia(アメリカ合衆国の連邦合同委員会の定義)
学習障害(LD)と発達障害の違い
学習障害(LD)は発達障害の一つであり、知能全体の発達の遅れがみられる広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)と違い、学習障害は一部の限られた能力にのみ、発達の遅れが見られます。
学習障害(LD)の症状と分類

学習障害(LD)の症状は、聞く、話す、読む、書く、計算する・推論する、などの能力の1つまたは複数の習得や行動に困難が生じます。主に以下の3つに分類されます。
- 読字障害(ディスレクシア)
- 書字障害(数ディスグラフィア)
- 算数障害(ディスカリキュア)
例えば、数字は得意で誰よりも速く計算できるのに、文字がうまく書けなかったり、文章を読めなかったり、といった症状が現れます。
読字障害(ディスレクシア)
読字障害(ディスレクシア)は、文章を「読む能力」に障害があります。
例えば、比喩表現や類似する言葉の意味が理解できない、文章を逆から読んでしまう、途中でどこを読んでいるのか分からなくなる、字を読んでいると頭痛が悪化する、内容が頭に入らない、といった症状がみられます。
具体的には以下のような特徴があります。
- 似た文字である「ね」と「わ」、「ツ」と「シ」などの違いが分からない
- 小さい文字「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」を認識できない
- 途中でどこを読んでいるの分からなくなる
- 飛ばし読みなど、文章を効率良く読むことができない
- 読むのは困難だが、音声により耳で聞いた情報は理解できる
書字障害(数ディスグラフィア)
書字障害(数ディスグラフィア)は、文章を「書く能力」に障害があります。
例えば、黒板に書かれた文字を書き写せない、作文や手紙が書けない、鏡字をそのまま書いてしまう、句読点が理解できない、といった症状がみられます。
具体的には以下のような特徴があります。
- 書き順がめちゃくちゃで、誤字・脱字など間違いが多い
- 鏡文字をそのまま書く
- 簡単な漢字でも覚えられない
- 黒板やプリントされた文字を書き写せない、時間がかかる
- 文字の大きさや形がバラバラで、マス目に合わせて書けない
算数障害(ディスカリキュア)
書字障害(数ディスグラフィア)は、数字の「計算能力」に障害があります。
例えば、簡単な計算(たし算、ひき算など)ができない、計算式や記号を理解できない、繰り上げや繰り下げが理解できない、数の大小関係が理解できない、といった症状がみられます。
具体的には以下のような特徴があります。
- 簡単な計算式・記号を理解できない
- 数字の大きい、小さいが分からない
- 繰り上げ、繰り下げができない
- グラフや図形が理解できない
- 文章問題を理解できない
年齢別にみる学習障害(LD)の症状
学習障害(LD)の症状や特徴などを紹介しましたが、成長過程によって学習障害(LD)の症状も変わっていきます。年齢別に症状の現れ方を見ていきましょう。
幼児期(1歳~6歳)

幼児期では学習障害(LD)の症状が目立ちにくいため、判断するのが難しいですが、以下のような行動が特徴的です。
- 文字や言葉を覚えるのが遅い
- 全身や手足の使い方がぎこちない
- 手先が不器用で、ボタンがとめられない、折り紙が折れない
小児期(6歳~12歳)

小学生になると、本格的に学習することになるため、勉強において、学習障害(LD)の症状が目立ちやすくなります。
- ひらがな、簡単な漢字が読めない
- 行を飛ばして読んでしまう
- 文章をたどり読みしている
- 文字を書くのを極端に嫌がる
- うまく文字を書けない(鏡文字になったり、点や線が抜けている)
- 黒板やプリントの文字を書き写しできない、時間がかかる
- 文章を読むのを極端に嫌がる
- 行線やマス目から大きくはみ出す
- 時計が読めないので、時間が分からない
- 数を数えられない、「1・2・5・6」のように飛ばして数えてしまう
- 筆算するときに数字がずれて間違えてしまう
- 計算を極端に嫌がる
- 簡単な計算(たし算、ひき算)ができない
このような症状がみられたり、同学年の他の子供と比べて学習能力が著しく遅い場合などは、専門機関に相談することをおすすめします。
青年期・思春期(12歳~18歳)

思春期になると、学習能力の偏りが顕著に現れてきます。本人に悪気はないので、親や学校の先生の理解やサポートが大切です。
- 英単語が読めない、書けない
- 小学生で習うような基本的な漢字が読めない
- 卒業作文やレポートなどの長文が書けない
- 計算はできるが、文章問題が理解できない
- グラフや図形の問題が解けない
このような特徴以外にも、さまざまな合併症状が現れることがあります。
成人期・大人(18歳~)

最近は成人して大人になってから学習障害(LD)と診断される人も少なくありません。大人になってから、仕事や学業で問題に直面するなど、特徴が疑われたら、一度、発達障害者支援センターなどの相談機関や専門医師に相談してみましょう。
- 人に指示されたり集団行動が苦手で、会議や朝礼がつらい
- 上司から注意されても、何度も同じ失敗をする
- 内容をうまくまとめられず、構成案や企画書を作れない
- 電話しながら、メモを取れない
- レポートや報告書が書けない
- お釣りや経費の計算が苦手で、金銭管理ができない
学習障害(LD) 診断チェックシート

簡単な学習障害(LD)診断です。以下項目にいくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
5個以内なら・・・学習障害の可能性は低いです。
6個以上なら・・・学習障害の心配があります。
10個以上なら・・・学習障害の可能性(大)です。
※たくさん当てはまるからといって、必ずしも学習障害(LD)と診断されるとは限りません。心配な方は専門機関にご相談ください。
学習障害(LD)の原因

学習障害(LD)の原因は、脳や中枢神経系に何らかの機能障害が影響していると考えられていますが、未だ具体的な原因は分かっていません。
文部科学省の見解では、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因ではないとしています。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
出典:文部科学省
学習障害(LD)は遺伝するの?

学習障害(LD)と遺伝の関係性については、はっきりと解明されていませんが、スウェーデンのマッツ・ミルベリィ教授は論文「ディスレクシア‐知識の概要」にて、以下のように述べています。
ディスレクシアが遺伝的な資質ということは、疑う余地がない。またそこに環境要因も加わることを私達は知っている。それでは最も大きな要因は遺伝だろうか、それとも環境だろうか。現在のところはまだ研究者たちは、この質問に対し完全な答えは出していない。個々のケースに対して、困難がどのような要因によるものか正確に知ることは難しいからである。
出典:論文「ディスレクシア‐知識の概要」
学習障害(LD)の治療方法

学習障害(LD)の治療は、タイプ別に以下のような療育が行われます。
読字障害(ディスレクシア)の療育
読字障害(ディスレクシア)の治療では、「文字を音と関連付けて覚える」という療育を行います。はじめは文字単位からスタートし、音節、単語、文章・・・と徐々に拡張していきます。さらに、本人や保護者に対するカウンセリングといった、サイコセラピー(精神療法)が施される場合もあります。
書字障害(数ディスグラフィア)の療育
書字障害(数ディスグラフィア)の治療では、簡単な文法から繰り返し根気強く教えて、作文の書き方の反復訓練をします。本人の得意・不得意や能力、学習レベルに合わせて個別に指導していきます。
算数障害(ディスカリキュア)の療育
算数障害(ディスカリキュア)の治療では、数字を繰り返し根気強く教えて、計算の反復訓練をしていきます。そして、何かを達成する度に褒めて、達成感を満たしてあげるといった方法も有効とされています。
なお、これらの治療のほとんどは小学校卒業までに修了するケースが多いですが、症状が重い場合は中学校~高校まで療育サポートが必要になる場合もあります。
まとめ
ここでは、学習障害(LD)の症状や、年齢別による特徴、原因、治療法などについて紹介しました。
学習障害(LD)は早期発見して適切な治療を施すことで、症状を軽減することができます。もし家族に診断の疑いがあれば、発達障害者支援センターなどの相談機関や専門医師に相談しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
【あわせて読んで欲しい記事】
・コミュ障を改善する27のテクニック
・コミュ障を克服!今日からできる9つの行動